殺人事件の捜査なのにユーモラスで、しかも毎回見た後はすっきりして、でも時にちょっと考えさせられるドラマメンタリスト(the MENTALIST)とってもおもしろいですよね。
そのメンタリストから、気のきいた英語表現を毎回一つ取り上げて紹介します。
(ネタバレあり)
昨日は、殺人現場で被害者の母親である女性にたいして、彼女の夫に彼が殺人犯かどうか聞いて嘘をついているかどうか確かめてほしいというところまで見ました。
今日は、いよいよそこにその夫がやってきます。女性が夫に質問をしたがらないので、ジェーンが聞きます。
Did you kill your daughter?
娘さんを殺しましたか?
何の証拠もないのにいきなり強烈です。しかも "You killed your daughter, huh?"でもなく、"Didn't you kill your daughter?”でもなく、”Did you kill your daughter?”ですよ。前回"What would he say?"と言った女性の気持ちがよく分かります。ただのYES/NO疑問文をこんなにおもしろおかしく使っているドラマは初めて見ました。
女性の夫はもちろん怒りますが、その怒り方が本当に嫌なやつなのです。
I'm gonna have your badge.
おまえの(警察官の)バッジを取り上げてやる。
I am gonna make life miserable for you.
みじめな人生にしてやる。
You come in here, you accost my wife.
勝手に入ってきて妻をそそのかしやがって。
しかし、夫の答え方を見て女性は夫が娘を殺したと確信します。銃を持ってきて夫を射殺します。他の警察官と一緒に駆け込んできたリズボンに言ったジェーンの言葉
Honestly, it's not as bad as it looks.
信じてほしいんだけど、見かけほどはひどくないよ。
つまり、人が射殺されているけど、娘に不適切な関係を強要し断られて殺すような父親だから、しかるべきことが起こったということです。
"Honestly"は、直訳すると「正直に言うと」、今風の言い方だと「ぶっちゃけ」がもっとも近い意味の言葉です。この場合は「目の前で起こったことだけを見ても信じられ菜かもしれないけど」という気持ちが込められています。
ジェーンは気取った感じの言い回しをするので、「信じてほしいんだけど」と訳しました。
"it's not as bad as it looks."もとても英語らしい表現ですね。文法的には中学3年生でならうものですが、ぱっと聞いて分かったらなかなかの英語力です。
"not as bad"は"~ほど悪くない"のおなじみの比較級です。学校では"as ~ as"とならうことが多いと思いますが、文法的には二番目のasの前に実は切れ目があります。
よく英語を使えるようになるためには構文を覚えろと言います。それはそれで嘘ではないのですが、"as ~ as・・・"=「・・・とおなじぐらい~だ」と覚えていても英語は使えるようにならないので、そう覚える書いてある本があったら捨ててしまってください。
極端に思うかもしれませんが、"honestly" これはホントです。考えずに構文を覚えるだけじゃなくて、構文の本質を覚えないと使えるようにはなりません。
その後に続く"as it looks"は「それがそう見えるほどには」という意味で、つまりは「見た目ほどには」という意味になります。
たとえば、"It tastes as good as it looks."で「見た(目もおいしそうだけどその)ままのおいしさ」という意味になります。
それにしても、目の前で人が射殺されているのに、「見た目ほど悪くないよ」ってのんきなセリフ。殺された男がそれだけ悪人だからゆえのセリフですが、私はすでにこの時点でドラマメンタリストの魅力にどっぷりはまってしましました。
*1:from the MENTALIST S1E1